医療お役立ちコラム

薬ができるまで

2018/08/01

「くすり」を逆から読むと「リスク」で、薬にはリスクがつきもの……とよく言われます。
ただし、そのリスクをなるべく減らし、安全に服用してもらえるよう、薬ができるまでにはいくつもの“試練”を経ています。

ひとつの薬ができるまでには、実に10年以上もの年月がかかります。
まず、“薬のもととなる物質”を探し出すことからはじまるのですが、「これは薬の候補になりそうだ」と、研究をはじめた化合物が実際に新薬として世に出る確率は2万分の1とも言われています。それだけ多くの試行錯誤があるのです。

薬の候補が見つかったら、有効性や安全性を確認するために、動物や人工的に培養した細胞を対象に研究が行われます(=非臨床試験)。

臨床試験は3段階

非臨床試験をクリアしたら、ようやく人間を対象に、有効性と安全性を確認する試験が行われます。これが「臨床試験」、いわゆる治験です。

この臨床試験には3つのステップがあります。
最初のステップ(第Ⅰ相試験)は、少人数の健康な成人を対象にしたもの。少ない量を投与して、薬が体内でどのように吸収され、排泄されるかを確認します。(抗がん剤など、薬の種類によっては患者さんを対象にはじめます)

第2のステップ(第Ⅱ相試験)では、少人数の患者さんを対象に、複数の投与量・投与期間・投与間隔を試し、効果と副作用の両方をみながら、適切な使い方を検討します。

第3のステップ(第Ⅲ相試験)では、多くの患者さんを対象に、既存の薬やプラセボ(偽薬)と比較しながら効果と安全性を確認していきます。ここで、既存の薬に比べて、効果が上回ったり、副作用が少なかったり、良い結果が得られなければなりません。

薬として発売後も「再審査」がある

非臨床試験、3段階の臨床試験(治験)をクリアしたら、それらの結果をまとめて厚生労働省に申請し、専門家による審査を受けます。そして、有効性と安全性が確認されれば承認を受け、晴れて「薬」となるのです。

薬として発売されると、日常の診療のなかで多くの患者さんに使われるようになるわけですが、有効性と安全性の確認は終わったわけではありません。
じつは、「製造販売後調査」といって、日常診療のなかで有効性や安全性を確認する調査は続きます。なおかつ、日本では、一定期間(多くの新薬の場合、8年)が経過したあと、実際の臨床現場でのデータを集めて効能・効果、安全性について再度確認する「再審査制度」が設けられています。

このように、今、使われている薬は、幾重もの審査をくぐりぬけて今に至っているのです。