医療お役立ちコラム
夏場の薬、どこで保管する?
2019/08/01
ようやく梅雨が明けたと思ったら、30度超えの暑い日々が続いています。
夏場は、作り置きの料理も、いたまないように、すぐに冷蔵庫に入れておくという人が多いと思います。
では、薬はどこに保管していますか?
「室温保管」って何度?
こう暑い日が続くと、薬も冷蔵庫に入れたほうがいいのでは、と思うかもしれません。
でも、ほとんどの薬は、「室温」での保管が基本です。
ところで、室温とは何度でしょうか?
室温なので、「部屋の中の温度」のことですよね。
でも、部屋の中の温度って、季節によっても変わりますし、冷房を入れているのか、暖房を入れているのか、などでもかなり変わります。
そこで、医薬品の規格基準書である「日本薬局方」には、次のように定められています。
「室温は1~30度」
ちなみに、常温、冷所は次のとおりです。
・常温は15~25度
・冷所は1~15度
粉薬、錠剤の保管場所
室温は1~30度ということは、日中、30度を超える日々が続く夏場は、薬も冷蔵庫に入れたほうがいいのでしょうか?
これは、薬の種類にもよります。
一般的な粉薬や錠剤、カプセル剤の場合、冷蔵庫から出し入れすることで、冷えた薬の表面に空気中の水蒸気が水滴となってつき(結露するということ)、湿気を帯びてしまうことがあります。
ですから、粉薬や錠剤、カプセル剤は、特に指示がない限り、冷蔵庫ではなく、室内に。
直射日光の当たらない、なるべく乾燥した涼しいところで保管しましょう。
とくに粉薬や錠剤は湿気に弱いものが多いので、キッチンや洗面所といった、水回りはNG。
お薬箱や密閉できる缶に乾燥剤を入れて、日の当たらないなるべく涼しいところに置いておくと良いでしょう。
冷蔵庫に入れるべき薬とは?
一方、シロップ剤や座薬、一部の目薬など、高温がとくに苦手な薬もあります。
これらの薬は、高温で変質しやすいので、冷蔵庫で保管しましょう。
薬を処方されるときに、「冷蔵庫に入れて保管してくださいね」などと、医師や薬剤師から指示されるはずです。
あるいは、「冷所保存」と書かれている薬は、冷蔵庫に入れましょう。
おさらいですが、冷所は1~15度です。
冷蔵庫のなかでも、チルド室や直接冷気があたる吹き出し口の近くは温度が低いので、避けましょう。もちろん冷凍庫もNGです。
塗り薬は冷蔵庫に入れても良い?
では、軟膏やクリームなどの塗り薬(外用薬)はどうでしょうか?
軟膏やクリームもほとんどが室温保存ですが、あまり高温のところに置いておくと溶けてしまうこともあります。
30度超えが続く夏場は、冷蔵庫で保管しましょう。
日本皮膚科学会も、「皮膚科領域の薬の使い方」に関するQ&Aで、「夏場など30℃を超える場合には冷蔵庫などに保存して下さい」と書いています。
参照
◎厚生労働省 日本薬局方
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html
◎日本皮膚科学会 皮膚科領域の薬の使い方