医療お役立ちコラム
薬の9割は添加物!?
2019/11/01
「添加物」と聞くと、加工食品に使われている保存料や着色料など、「なんとなく体に悪いもの」というイメージをお持ちの方は多いと思います。
じつは医薬品にも、添加物(添加剤)が含まれています。
というよりも、多くの医薬品は、有効成分よりも添加剤のほうが、重量が多いのです。
今回は、この医薬品添加剤について紹介します。
薬の添加物とは?
医薬品の添加物とはなにでしょうか。
医薬品の有効成分以外のものが添加物(添加剤)です。
ちなみに、有効成分とは、その薬に含まれる成分のなかで、その薬の目的である効果を表す成分のこと。たとえば、よく使われる鎮痛剤のひとつに「ロキソニン」というものがありますが、この有効成分は、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」です。
薬には、「商品名」と「一般名」がありますよね。この一般名が有効成分の名前です。
ロキソニンで言えば、「ロキソニン錠」が商品名で、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が一般名になります。
この有効成分以外で、医薬品を形作っているものすべてが、医薬品添加剤です。
有効成分と添加物の割合
「有効成分以外のもの」と聞けば、なんとなく大部分が有効成分で、残りのちょっとが添加剤なんだろう、と思うかもしれません。
ところが、実際はそうではありません。
たとえば、またロキソニンを例に挙げましょう。
「ロキソニン錠60㎎」の添付文書を見ると、1錠のなかに有効成分である「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が68.1㎎(無水物として60㎎)含まれている、と書かれています。
では、1錠の重さはというと、250㎎と明記されています。
1錠は250㎎で、有効成分は60㎎、その残りが添加剤なのです。
有効成分と添加剤の割合は、その薬によってさまざまですが、じつは9割以上が添加剤という薬も多くあります。
医薬品添加剤の目的
では、医薬品添加剤はどんな目的で添加されているのでしょうか。
医薬品の規格基準書である「日本薬局方」には、医薬品添加剤について次のように定められています。
「添加剤は、製剤に含まれる有効成分以外の物質で
有効成分及び製剤の有用性を高める、
製剤化を容易にする、
品質の安定化を図る、
また使用性を向上させる
などの目的で用いられる」
ただし、添加剤は、薬理作用を示さないこと、無害であること、有効成分の治療効果を妨げないことが大前提です。
ジェネリックは、有効成分が同じで添加剤は変更可
ところで、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を同じ量含み、効能・効果や用法・用量も基本的に同じ薬です。ただし、ジェネリック医薬品には先発医薬品とは異なる添加剤が使われていることがあります。
先発医薬品が製剤特許をとっていて同じものが使えない場合もあれば、「飲みにくい」「安定性が悪い」など、もともとの薬が抱える課題を解決するためにあえて添加剤を変える場合もあります。つまり、より飲みやすく、より安定性を高めるなど、改良されている場合もあるということです。
ただし、さまざまな試験の結果、効き目も安全性も同等であることが認められなければジェネリック医薬品として承認されません。 このように添加剤自体は、薬理作用を持ちませんが、薬を構成する大切な要素です。