医療お役立ちコラム

年齢とともに薬は増える?

2020/02/01

年を重ねると持病が増えて、服用する薬も増えるもの――。

そう思っていませんか?

実際、厚生労働省の調査結果などを見ると、年代が上がるにつれて、処方されている薬の種類が増えていることがうかがえます。ただ、「ポリファーマシー」と言って、必要以上の薬を服用することにはリスクがあるのです。

75歳以上の4人に1人が「7種類以上」

まず、どのくらいの薬を服用している人が多いのか、年代別に見てみましょう。

厚生労働省の調査(平成29年 社会医療診療行為別統計の概況)によると、全国の保険薬局で処方された薬の種類は、

40~64歳では、1~2種類がほぼ半数の46.3%、3~4種類が30%、5~6種類が13.7%、7種類以上が10.1%と、約8割の方は4種類以内です。

ところが、65~74歳に年代が上がると、1~2種類は43.5%、3~4種類は28.6%とやや下がり、5~6種類が14.4%、7種類以上が13.5%と、5種類以上処方されている人の割合が増えます。

75歳以上はその傾向がさらに進み、1~2種類は34.3%、3~4種類は24.9%、5~6種類は16.3%、7種類以上が24.5%に。ほぼ4人に1人は7種類以上の薬を処方され、4割の人が5種類以上の薬を処方されているのが現状です。

ポリファーマシーのリスク

多くの種類の薬が投与されていることを「多剤投与」または「ポリファーマシー」といいますが、これには大きく2つの意味で問題があります。

ひとつは、薬を服用する患者さん自身に起こる悪影響です。

服用している薬が多い人のなかには、新たな病気、症状が起こるたびに別の医療機関に行って処方を受けることで、薬の情報が担当医や薬剤師に共有されないまま、同じ効能をもつ薬が重複して処方されていたり、飲み合わせの悪い薬が出ていたり、「なぜ処方されたのか」わからない薬がそのまま処方され続けていたりする人がいます。

そうすると、薬の相互作用で効果が強く出すぎたり、逆に打ち消しあって十分な効果が出なかったり、あるいは、ふらつきや食欲低下、便秘といった新たな症状(副作用)が出て、それに対してさらに薬が追加されるということも。

ちなみに、服用している薬によって引き起こされた副作用を、「新たな病気、症状」と勘違いして、新たな薬が処方され、薬が増えていくことを「処方カスケード」といいます。

国の医療費も増やす

ポリファーマシーのもうひとつの問題は、医療費です。

薬が増えれば、国の医療費も増える。患者さんにとって必要な薬だったらいいものの、前述したように、必要のない薬によって医療費が増えてしまうのは避けたいですよね。

しかも、飲む薬が多いと、飲む時間を間違えたり、飲み忘れたりして、家にたまっていく「残薬」も増えがちです。

「薬が多い?」と思ったら

服用する薬が増えることには、こうした問題があります。

そこで国は、重複投薬や多剤投薬(ポリファーマシー)を解消するために、薬局で、患者さんの服薬情報を一元的に把握し、重複投薬やポリファーマシーの問題があったときには処方した医師に確認し、薬を整理する提案を行うよう、すすめています。

もしも、現在服用している薬について、「多すぎるのでは?」「なぜ服用しているのかわからない薬がある」など、疑問に思うことがあれば、薬剤師にご相談ください。その際、お薬手帳ももってきていただけるとありがたいです。