医療お役立ちコラム

薬のきほん②飲むタイミングにも意味がある

2017/11/01

病院、クリニックや薬局で薬を渡されるとき、「毎食後に飲んでくださいね」あるいは「食前に飲んでくださいね」などと言われますよね。
ほとんどの薬には、服用すべきタイミングが決まっています。

いちばん多いのが「食後」です。
「食後」と言われたら、「食後30分以内」と考えてください。胃に食べ物が残っていることで、胃の粘膜などへの刺激がやわらぐほか、消化活動が活発に行われているため、薬の吸収も早くなると考えられます。

逆に、「食前」は、食事の30分ほど前が目安です。食欲を増進させるような働きのある薬、胃のなかに食べ物があると吸収が妨げられてしまうような薬などの場合、食前の服用になります。
ちなみに、「食直前」と言われたら、食事の直前のことです。「いただきます」と最初の一口を食べる、直前のこと。代表的なのが、食後高血糖を防ぐために使われる「α-グルコシダーゼ阻害薬」と「即効型インスリン分泌促進薬」です。

わかりにくいのは、「食間」でしょう。「食事と食事の間」の意味です。「食後2時間」を目安にしてください。決して、「食事をしている間(食事中)」の意味ではありません。

そのほか、睡眠薬のように「就寝時」(寝る15~30分前)に服用するもの、「頓服」といって、痛みや熱、吐き気などの症状が出たときにだけ服用するものもあります。頓服薬は、「一日に何回まで飲んでいいのか」「どのくらいの間隔をあけるべきか」は、その薬によって異なります。

また、食前、食後などのタイミングではなく、「12時間おきに」などと、“薬を飲む時間”が決められているものもあります。これは、薬の血中濃度をある一定以上に保ちたいからです。

 

このように薬を服用するタイミングには、ちゃんと意味があります。ちゃんと決められたタイミングを守って服用していただきたいのですが、うっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。飲み忘れに気づいた悩んだこと、ありませんか?
一般的には、もともと服用する予定だった時間よりも、次に服用する時間に近い場合は、一回分飛ばして、次のタイミングで服用したほうがいいでしょう。ただ、薬によっては、より注意が必要なものもあるので、やっぱり決められたタイミングを守るのが一番です。