医療お役立ちコラム

体温計の仕組み

2020/09/01

最近、お店や企業の入り口で検温を行う機会が増えました。

そのときによく使われているのが、非接触型の体温計です。額などを近づけると、ピピッと一瞬で体温が表示されます。どうやって測っているのか、不思議に思ったことはありませんか?

今回は、そんな体温計の不思議に関するお話です。

電子体温計はなぜ10秒で測れるのか

非接触型の体温計の仕組みの前に、一般的な電子体温計ではどうやって温度を測っているのでしょうか。

昔の水銀体温計では、水銀に熱が伝わって体積が膨らむことを利用して、温度を測っていました。電子体温計では、「サーミスタ」と呼ばれる、温度が変わると電子抵抗が変化する半導体素子を使って温度の測定が行われています。

ところで、水銀体温計に比べて、電子体温計では10秒、30秒といった短い時間で測定できるようになりました。それはなぜかと言えば、多くの電子体温計は「予測式」が採用されているからです。

サーミスタの電気抵抗の変化を検知して温度に換算し、さらに最初の10秒なり30秒なりで「温度がどのように立ち上がっているのか」を見て、内蔵された豊富な体温測定データをもとに、このまま測定すれば何度になるだろうという温度を〝予測″して表示しています。

電子体温計でも、サーミスタの温度が上がりきるのを待って、実測値を測定すると、10分ほどかかるそうです。

非接触型体温計が測定しているのは赤外線

では、かざして測るタイプの非接触型の体温計ではどうやって測っているのかと言うと、私たちの体から発せられる赤外線(電磁波)を測定しています。赤外線とは目には見えない光(電磁波)のこと。

体が赤外線を出していると聞くとなんだか不思議に感じるかもしれませんが、たとえば、手をかざすと自動的に水が流れる自動水栓、人が通るとパッと明かりがつくライトなども、赤外線センサーで、人(温度の変化)を感知しています。

そもそも温度をもつものはすべて目に見えない電磁波を常に出しています。そして、物体が出す電磁波の性質は、温度によって変わります。

そのため、物体から出ている赤外線を測定すれば、温度を割り出すことができるのです。

かざすだけで測定できる体温計では、瞬時に赤外線をキャッチし、温度を計算しているというわけです。

参考 松原隆彦『文系でもよくわかる 日常の不思議を物理学で知る』