医療お役立ちコラム
薬のきほん③薬は何日分、もらえる?
2017/12/01
風邪やインフルエンザのように急性の病気の場合、数日分の薬が処方されることがほとんどですが、高血圧や糖尿病、脂質異常症のように慢性の病気(いわゆる“持病”)の場合、「いつも同じ薬なんだから、1回の診察でまとめてほしい」という人は少なくないと思います。
薬は、一度に何日分までもらえるか、ご存知でしょうか?
以前は、「原則14日分」で、症状が安定している場合は、薬の種類によって「30日、または90日まで」と決まっていました。
ところが、平成14年にルールが変わり、一部の薬を除いて、処方日数の上限が撤廃されました。つまり、何日分処方するかは、医師の裁量に任されることになったのです。
そこで、「医師にお願いすれば、1年分まとめてもらえるの?」などと、思うかもしれません。
法律上は可能ですが、さすがに現実的ではありません。慢性疾患とはいえ、副作用は出ていないか、症状は安定しているか、薬をしっかり飲んでいるか……など確認した上で、薬を処方すべきだからです。
ですから、処方日数の上限が撤廃されたとはいえ、「月に1回来てくださいね」「2か月に1回来てくださいね」と、定期的に診察をして、薬をお渡しすることのほうが多いです。
さて、先ほど、「一部の薬を除いて、処方日数の上限が撤廃」された、と書きました。
この「一部の薬」に含まれるものは、どういったものでしょうか。
それは、「新薬」と「医療用麻薬」「向精神薬」です。
ちなみに、向精神薬とは、中枢神経系に作用して、精神の活動に作用する薬のこと。睡眠薬や安定剤などが含まれます。
発売から1年未満の新薬は、14日分まで。
医療用麻薬、向精神薬は、種類によって、14日分、30日分、90日分までと決まっています。
新薬は、発売からまだ日が浅いため、副作用や効果についてより注意深く見ていかなければいけないからです。向精神薬は、乱用や依存を防ぐことが理由です。
ただ、これらの処方日数の制限がある薬でも、長期の旅行や年末年始、ゴールデンウィークなど、特別な事情がある場合は、30日分を限度に認められています。医師や薬剤師にご相談ください。