医療お役立ちコラム
意外と知らない「正しい目薬のさしかた」
2021/05/01
目薬をさすとき、みなさんはどのようにしていますか?
上を向いて、目薬をさして、パチパチとまばたきをする――。
そんな風に目薬をさしていませんか?
じつは、これ、間違った目薬のさしかたです。
疲れ目やドライアイ、アレルギーによる痒みなど、ふだんから目薬を使っている方は多いでしょう。でも、「正しい目薬のさし方」は意外にも知られていません。
今回は、目薬にまつわる「〇×」を紹介しましょう。
半数以上の人が「目薬のさしかた」を間違っている
2010年と少し古い調査ですが、ファイザー株式会社が行った点眼方法に関するインターネット調査では、上を向いて目薬をさしたあと、「目をぱちぱちさせている」人が43.3%、「しばらくの間、目を見開いたままじっとしている」人が15.1%いました。
どちらも間違った目薬のさし方です。
つまり、半数以上の人が、じつは目薬のさし方を間違っているのです。
正しいさし方は「1分待つ」
では、正しいさし方はというと、まず、手を流水とせっけんで洗います。
そして、少し上を向いて、指またはげんこつで下まぶたを下に引き、目薬の容器の先がまぶたの縁やまつ毛にふれないように、点眼します。
点眼後は、顔の向きを戻して、しばらく目を閉じるか、目がしら(鼻のほう)を軽くおさえるようにして、点眼した薬が目の奥のほうへ浸透していくのを待ちます。
このとき、上を向いたまま目を開けていたり、目をぱちぱちさせたりすると、せっかくさした目薬がこぼれ落ちてしまいます。だから、NGなのです。
では、点眼後に目を閉じたまま、あるいは目がしらを軽くおさえたまま、どのくらい待てばいいのかというと、「1~5分」といわれています。「そんなに待つの?」と思うかもしれませんが、少なくとも1分は待つようにしましょう。
1回の点眼は1滴で十分です
一度の点眼で2滴、3滴と入れたほうが効きそうだから、と一度に数滴さしていませんか?
2滴、3滴とさしても、溢れて流れ出てしまうだけ。1滴で十分です。
さした目薬は、「結膜嚢」と呼ばれる袋状のスペースに一旦たまってから、奥に吸収されていきます。この結膜嚢に入る液体の量は、大人で20~30マイクロリットルといわれています。一方、目薬の一滴は、30~50マイクロリットルなので、2滴、3滴とさしても溢れるだけなのです。
では、2種類の目薬をさすときはというと、間隔をあけてさしましょう。
1種類目の目薬をさしたあとにすぐに次の目薬をさしてしまうと、先にさした目薬が洗い流されてしまいます。短くとも5分はあけるようにしましょう。
目薬の使用期限は?
ところで、今使っている目薬はいつ開封したものですか?
目薬にも使用期限があります。
パッケージに書かれている「使用期限」は、未開封の場合です。
開封後は、医療機関で処方された目薬の場合は1か月以内、市販の目薬の場合は3か月以内が目安といわれています。古いものを使い続けないようにしましょう。