医療お役立ちコラム
医師が作ったコロナとワクチンの情報サイト「こびナビ」
2021/06/01
新型コロナウイルスワクチンの接種がはじまっているなか、「ワクチンを打つか、打たないか」「打ってもよいのか」――、悩んでいる方は少なくないでしょう。
ネット記事やSNSを見ると、さまざまな情報が飛び交っていて、さらに混乱するかもしれません。
そうしたなか、新型コロナウイルス感染症の診療や研究にあたっている医師らが、「新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を届けたい」と、ワクチンの概要や効果、副反応などについて紹介するサイト「こびナビ」(https://covnavi.jp/)を開設しました。
一人ひとりが十分な情報のもと判断できるように
「こびナビ」の「こび」は「COVID-19」(新型コロナウイルス)のこと。
新型コロナウイルスについて、一人ひとりが正確な情報へたどり着けるよう「ナビゲート」するためのサイトです。
「一人ひとりがワクチンに関する正確な情報を理解し、自分で判断できるようにすることが大切だと思います。十分な情報がない中で、いつの間にか自分の順番が回って来て、ワクチンを打つかどうか決めざるを得ない状況は避けなければいけない」。
このプロジェクトの代表である吉村健佑医師は、こうサイトに綴っています。
「日本人にもワクチンは効くの?」
「こびナビ」には、「ワクチンQ&A」や、ワクチンにまつわる素朴な疑問などに答えてくれる「動画・スライド」、実際にワクチンを接種した病院関係者の「体験記」などが掲載されています。
たとえば、「日本人でもちゃんとワクチンは効くの?」というテーマの「動画」では、「日本でも高い予防効果があると考えられている」と答えたうえで、その理由として、次の2点を説明しています。
ひとつには、今回のワクチンの臨床試験はアメリカで行われているものの、意図的にいろいろな人種の人を対象にしていて、アジア人も多く含まれていること。
もうひとつの理由としては、ファイザー社のワクチンに関しては日本でも承認前に小規模の臨床試験を行っており、日本人に対してもしっかり抗体ができることが確認されている、とのことでした。
「コロナワクチン、どうしてこんなに早くできたの?」
新型コロナウイルスのワクチンを打つかどうか、悩んでいる方がいちばん気になるのは、安全性ではないでしょうか。
そもそも「ワクチンの開発には10年かかる」と言われていたのが、なんでこんなにも早くできたのか――。「本当に安全なの?」と、心配になるでしょう。
短期間でワクチンができた理由について、「ワクチンの安全性①ワクチン開発」というテーマの「動画」で、次のように解説しています。
ひとつには、今回の新型コロナウイルスは「SARS」に似ていて、SARSの研究で、今回のワクチンの標的(スパイクタンパク質)についての研究がすでに行われていたこと。
もう一つは、メッセンジャーRNAをワクチンにすることについてはもう20年ほど研究が続けられていて、人に対して投与できそうというタイミングにちょうど来ていたこと。
ワクチンが早くできた理由にはほかにもいろいろありますが、上記の2点が大きい、とのことでした。
「コロナワクチンは、どうして筋肉注射なの?」
ところで、新型コロナワクチンは筋肉注射で行うということも、よく話題になります。
なぜ筋肉注射なのでしょうか。
これについても、「動画」で解説しています。
日本ではこれまで、ワクチンといえば、浅いところに打つ「皮下注射」が一般的でした。
それがなぜ、今回の新型コロナワクチンは、もっと深いところに打つ筋肉注射なのか。
それは、単純に「アメリカの臨床試験と同じ方法で行うため」だそうです。
では、なぜ臨床試験は筋肉注射だったのかというと、そもそも、ワクチンのほとんどを皮下注射しているのは日本くらいで、海外ではインフルエンザワクチンも筋肉注射が一般的、とのこと。なおかつ、海外で筋肉注射が一般的なのには理由があり、筋肉注射のほうが、抗体ができやすく、局所の反応(副反応)は出づらいそうです。
コロナワクチンについて知りたい、打つかどうかの判断材料が欲しい――。
そう悩んでいる方は、一度「こびナビ」を見てはいかがでしょうか。
◎こびナビ
https://covnavi.jp/