医療お役立ちコラム

お薬手帳アプリのメリット、デメリット

2022/03/01

いつ、どこで、どんな薬を処方してもらったかを記録しておく「お薬手帳」。

内閣府が行った「薬局の利用に関する世論調査」によると、7割の方が「利用している」と答えています※1。ただ、その一方で、持参するのを忘れてしまうこと、ありませんか?

そんなときに便利なのが、お薬手帳アプリ(電子版のお薬手帳)です。

今回は、お薬手帳アプリについてご紹介します。

お薬手帳アプリのメリット

お薬手帳アプリのメリットは、なんといっても忘れにくいこと。

いつも持ち歩いているスマホにアプリを入れておけばいいので、急な病気やケガで処方薬を受け取りに行った場合にも便利です。

実は、お薬手帳の電子化が進んだきっかけは、2011年の東日本大震災でした。

持病のある方に薬を処方する際、お薬手帳の情報がとても役に立ったものの、被災者の多くはそれまで使っていた紙のお薬手帳をなくしてしまい、「ふだん、どんな薬を服用しているのか」がわからなかったのです。ただ、ほとんどの人は、携帯電話・スマホは避難所でももっていました。そこで、スマホで管理できる電子版のお薬手帳の開発が進められたのです。

そのほか、お薬手帳アプリには、紙ではなくアプリだからこそできる機能もあります。

・家族全員の情報を共有する

・飲み忘れを防ぐためのスケジューラー

 (お薬を飲む予定の日をカレンダーに登録。アラームの設定も可能)

・アプリから薬局へ、スマホで撮った処方せん画像を送信

 (薬局での待ち時間短縮に)

・処方薬だけではなく、市販薬もバーコードなどで簡単に登録できる

・データのバックアップ機能、データ移行

・アプリによっては、薬以外の健康情報も管理できる

お薬手帳アプリのデメリット

アプリならではの良さがある一方で、紙ならではの良さもやっぱりあります。

いちばんは、パッと見やすいこと。さっと開いて、これまでの服用歴を確認することができるという一覧性の良さが、紙のお薬手帳にはあります。

たとえば、診察室で医師に情報を共有するときに、医師によっては小さなスマホをスクロールして確認するよりも、紙のお薬手帳を見せてもらったほうがラク、という先生もいます。

また、お薬手帳アプリにも「メモ」機能はありますが、紙のほうがちょっとしたことをどこにでも書きやすいという手軽さがあります。

そのほか、お薬手帳アプリを使うときには、氏名、生年月日、連絡先、副作用歴、アレルギー歴といった個人情報を登録します。これらは紙のお薬手帳にもある項目ですが、自分の手元に持っておく手帳に書き込むことに比べて、アプリ上で登録することには抵抗のある方もいるかもしれません。

お薬手帳アプリも紙の手帳と同じ扱い?

ところで、薬局で処方薬を受け取る際にお薬手帳を持参すると、お会計が少し安くなるケースがあること、知っていましたか?

薬局でお薬をお渡しするときには、患者さんの薬剤服用歴にもとづいて、薬剤師がその日に処方された薬の名前や用法、効能、副作用、相互作用などの情報を文書で提供するとともに、口頭でも説明します。

それは「薬剤服用歴管理指導料」という費用がかかるのですが、前回の来局から3カ月以内にいらっしゃった患者さんで、お薬手帳を持参している方の場合、その費用が少し安くなるのです。

具体的には、原則3カ月以内に同じ薬局に再度処方せんを持って来局された患者さんで、お薬手帳を持参した場合には「43点(430円)」、それ以外の場合には「57点(570円)」と設定されています。

そして、紙のお薬手帳だけではなく、お薬手帳アプリでもそれは同じです。

お薬手帳アプリの場合は、調剤報酬に関するルール(調剤報酬点数に関する事項※2)のなかで、「『お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について』(平成27年11月27日薬生総発第1127第4号)の『第三  運営事業者等が留意すべき事項』を満たした手帳であれば、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする」とされています。

つまりは、一定の条件を満たしたアプリであれば、紙のお薬手帳と同じ扱いになりますよ、ということ。そして、ほとんどのお薬手帳アプリは、その条件を満たす形でつくられています。

ですから、お薬手帳を忘れやすいという方は、アプリの活用も考えてみてください。

◎参考

※1 内閣府「薬局の利用に関する世論調査 令和2年度」

https://survey.gov-online.go.jp/r02/r02-yakkyoku/index.html

※2 厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000603920.pdf