医療お役立ちコラム
コンタクト用目薬、何が違う?
2022/10/01
コンタクトレンズをつけているときには、一般の目薬は使えません。専用の目薬を使う必要があります。
コンタクトレンズ用の目薬と、一般的な裸眼用の目薬は、何が違うのでしょうか。
コンタクト用目薬とは
コンタクトレンズ用の目薬は、一般的に「人工涙液型」といって、涙に近い成分が含まれています。具体的には、塩化ナトリウムと塩化カリウムで涙に近い成分を補い、乾燥から目を守っています。
そのほか、商品によっては、涙の蒸発を防ぎ、潤いを保つための増粘剤や、タウリン、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンEといった疲労回復成分などが含まれています。
コンタクト用の目薬と一般の目薬の違い
一般の目薬は、それぞれの症状を緩和・治療するためのさまざまな成分が含まれている一方、コンタクトレンズ用の目薬はレンズに影響の少ない成分のみでつくられています。そのため、コンタクトをつけているときには、専用の目薬を使う必要があります。
なかでも大きな違いが、防腐剤です。
一般の目薬には大抵、「ベンザルコニウム塩化物」という防腐剤が添加物として使われています。これは、健康な角膜であれば問題ありませんが、高齢者やドライアイなどで角膜が弱っている人が使うと、角膜に傷がついてしまうことがあります。そして、コンタクトレンズをつけたまま使うと、レンズが防腐剤の成分を吸着して、目を傷めたり、レンズの変形や変色などにつながったりすることもあるのです。
また、一般の目薬には、目の充血を改善するための血管収縮剤が含まれているものがありますが、これも注意が必要です。コンタクトレンズをつけて酸素が不足しがちなところに、血管収縮剤入りの目薬をさすと、角膜の血管が収縮して、さらに酸素不足になってしまうことも。
こうした注意点があるので、コンタクトレンズをつけているときには、必ず専用の目薬を使いましょう。
コンタクトをつける前に普通の目薬をさしたいときには
コンタクトレンズをつける前に、一般の目薬を使いたいという場合、どのぐらい間をあければいいのでしょうか。日本眼科医会監修の「点眼剤の適正使用ハンドブックQ&A」には、次のように書かれています。
「点眼した後にコンタクトレンズを再装用する場合は、十分に時間(5~10分を目安)をあけて下さい。また、コンタクトレンズの汚染に注意して取り扱うように、手指の洗浄などを指導して下さい。」
一般の目薬をさしてからコンタクトレンズをつけるときには、5~10分は時間をあけましょう。
目薬の使用期限は、意外と短い
ところで、開封した目薬をずっと使い続けていませんか?
目薬は容器の中で細菌が繁殖しやすいので、じつは、使用期限はそんなに長くありません。「開封してから3か月以内」が目安です。
さらに、防腐剤フリーのコンタクトレンズ用の目薬は、もっと使用期限が短いので、使う前に必ず使用期限を確認しましょう。ちなみに、外箱に書かれている使用期限は未開封の場合ですので、お気をつけください。
◎参考
社団法人日本眼科医会監修「点眼剤の適正使用ハンドブック Q&A(医療関係者向け資料)」