医療お役立ちコラム

「食事が不規則」な人は、食後の薬はどうすればいいの?

2022/11/01

「1日3回、食後に飲んでください」「朝食後と夕食後に飲んでください」など、食後に飲むように薬を処方されることは多いです。ただ、なかには「1日2食しかとらない」「朝食は食べない日もある」といった方も少なくないでしょう。

 そういうときには食後の薬はどうすればいいのでしょうか?

なぜ「食後」に飲む薬が多いのか

 空腹状態で薬を飲むと胃が荒れるから、「食後」に飲む――。そう思っている方は多いのではないでしょうか。たしかに一部の解熱鎮痛薬のように、胃を荒らす作用が強い薬は、胃の中に食べものが残っている食後に飲むことで、胃への刺激を少なくすることができます。

 また、脂溶性(油に溶けやすい)の薬の場合、食後に服用することで吸収が良くなるという理由で「食後」に処方されていることもあります。

 一方で、単純に、飲み忘れを防ぐために「食後」が指定されているケースもじつは多いのです。食事は1日3回だいたい同じ時間にとる人が多いので、その食事習慣と関連付けることで飲み忘れないだけではなく、ちょうどいい間をあけて服用することができます。

1日2食の人はどうすべき?

「1日3回、毎食後」と言われたけれど、1日2食しか食べない――というときには、どうすればいいのでしょうか。

「1日2食だから、2回飲めばいいか」と思う人もいるかもしれませんが、それはちょっと待ってください。1日分の量には理由があります。また、その薬の作用時間が比較的短いため1日3回に分けて服用する場合もあります。

 自己判断する前に、まずは主治医の先生に相談しましょう。薬によっては、食事の有無に関係なく朝・昼・晩と3回に分けて服用すればOKのものもありますし、1日1回の服用で済む薬に変更してもらえることもあります。

薬を飲み忘れたら?

 食後に飲むべき薬を飲み忘れたら、どうすればいいのでしょうか?

 食後とは、だいたい食後30分以内を指しています。飲み忘れに気づいたタイミングが早ければ、すぐに飲むといいでしょう。ただ、次の食事の時間に近ければ、1回分は飛ばして、次の食後のタイミングに飲むほうがいいでしょう。

 このとき、1回飲み忘れたからと言って、1度に2回分の薬を飲むのは絶対にNGです。効きすぎてしまったり、副作用が増えたりする危険性があります。

まずはご相談を

 食事の回数が少なかったり、食事が不規則だったりして、指示されたとおりに薬が飲めていないときには、まずは主治医にご相談ください。医師は、処方した薬をすべて飲んでいると思って、次回の処方内容を考えます。ですから、もしも処方された薬を指示通りに飲めていないときには正直に話してもらわなければ、適切な処方を考えられません。場合によっては、期待した効果が得られていないからと、量が増えることもあるかもしれません。

 もしも主治医に言いづらいときには、かかりつけの薬剤師にご相談ください。より良い方法を一緒に考えていきましょう。