医療お役立ちコラム

フットクリームの選び方

2023/02/01

2月10日は「2(ふ)」「10(とお)」でフットケアの日です。

ちょうど寒さが厳しくなって、家の中では暖房生活が続き、足の乾燥やかかとのひび割れが気になっている人は多いのではないでしょうか?

フットケアの基本は、毎日足を洗って清潔に保つことと、なんといっても「保湿」です。今回は保湿剤の選び方についてお伝えします。

保湿剤には2種類ある

保湿剤、色々な種類がありますよね。

まず大事なのは、保湿剤には大きく分けて2種類あるということ。

一つは、肌に染み込んで角質に水分を与える「モイスチャライジング」効果の高いもの。

もう一つは、角質にたくわえた水分を逃がさないようにする「エモリエント」効果の高いものです。

たとえば、ローションタイプの保湿剤は、モイスチャライジング効果が高く、肌に水分を与えてくれます。ただし、保湿力は続きません。

一方、ワセリンは、肌の表面に膜を張ることで皮膚の内側からの水分蒸発を防ぐ、エモリエント効果の高い保湿剤です。そのため、入浴後など、皮膚に水分がある状態で使うほうが効果的です。

よく見るあの成分はなに?

肌の潤いを保つ保湿成分には、いろいろな種類があります。よく見かける、代表的なものをご紹介しましょう。

●セラミド

肌のいちばん外側の「角質層」で、細胞間のすき間を満たし、細胞同士や水分をつなぎとめているのが「セラミド」です。

●スクワラン

人間の皮脂に含まれている潤い成分「スクワレン」に水素添加し、酸化しにくくしたのが「スクワラン」です。

●ヘパリン類似物質

水分を引き寄せて保持する「保水性」があり、医薬品としても昔から使われています。高い保湿効果のほか、「血行促進効果」「抗炎症効果」もあります。

●グリセリン

無色透明の粘り気のある液体で、高い吸湿効果があり、外部から水分を引き寄せ、肌に潤いをもたらす働きがあります。

●尿素

皮膚にもともと備わっている保湿成分である「天然保湿因子(NMF)」の一つであり、水分を保持する働きがあります。それだけではなく、タンパク質を分解する作用があり、不要な角質をやわらかくしてくれるので、硬く厚くなった肌に効果的です。

保湿剤の使い分け

保湿剤は、肌の状態や季節に合わせて使い分けましょう。

●乾燥がひどいとき

肌に水分を与えてくれるローションタイプの保湿剤を染み込ませた上に、水分が逃げないようにカバーするワセリンやクリームタイプの保湿剤を塗ると、保湿効果が高まります。

●ガサガサ肌には?

気づいたら、かかとがガサガサになっていた……。角質が厚く硬くなった“ガサガサ肌”には、尿素が配合されたものがおすすめです。ただし、傷があったり、皮がむけていたりするときには、刺激を感じることがあるので控えましょう。

●夏場は?

湿度や温度の高い夏場は、さらっとしたものを使いたいですよね。冬に比べて乾燥もしにくいので、ローションタイプの保湿剤のみでもいいと思います。

◆参考

日本フットケア学会・編『フットケアと足病変治療ガイドブック』(医学書院)

日本フットケア・足病医学会「自宅で行う予防的フットケア 足のスキンケアについて」

https://www.jfcpm.org/news/20200508/5_6_foot.pdf