医療お役立ちコラム
週1~2日の歩行が死亡リスクを下げる
2023/04/01
1週間に1、2日でも8000歩以上歩くと、死亡リスクが低下する――。
このほど、そんな研究結果が公表されました。忙しくてなかなか歩く時間がないという方は、週末だけでもウォーキングの習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか?
研究のきっかけになった患者さんの一言
この研究結果は、京都大学大学院医学研究科の井上浩輔助教(社会疫学)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介准教授(医療政策学)らの研究グループが発表したものです。
従来の研究から、1日あたり8000歩まで歩数が増えるにつれて、死亡リスクが低下することが知られていました。ただ、毎日8000歩以上歩くことは容易ではありません。
実際、井上先生が内科外来で「先生、たくさん歩く必要があることはわかりました。でも忙しくて平日はそんなに歩くことができません。週末にためて歩いても問題ないでしょうか?」と患者さんに尋ねられたことが研究のきっかけになったそうです。
週1、2日のウォーキングでも死亡率は15%下がる
研究では、米国の国民健康栄養調査データを用いて、20歳以上の3101人(平均年齢50.5歳、女性51%)について解析したところ、次のような結果が得られました。
・1週間に8000歩以上歩く日数が多い人ほど、全死因の死亡リスクも心血管疾患の死亡リスクも低い
・週1、2日しか8000歩以上歩けなかった人でも、全死亡や心血管死亡のリスクは大幅に低く、週3日以上目標歩数を歩く人と同様に健康効果がある
・具体的には、週に一度も8000歩以上歩く日のない人に比べて、1、2日は8000歩以上歩いている人の全死亡率は14.9%、3日以上歩いている人は16.5%低かった
・心血管死亡率も、週に一度も8000歩以上歩く日のない人に比べると、1、2日歩いている人は8.0%、3日以上歩いている人は8.4%低かった
生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばす
歩くことが健康にいいことは、誰もが知っていると思います。ただ、どの程度健康にいいのか、健康効果を得るにはどのぐらい歩けばいいのか――、疑問に思う人もいらっしゃるかもしれません。
まずは1週間に1、2日、いつもよりも多めに歩く日をつくってみてはいかがでしょうか? 心血管疾患は高血圧や糖尿病、脂質異常症といった“生活習慣病”が積み重なった先に起こりやすいものです。いい生活習慣を取り入れることが心血管病を予防し、健康寿命を延ばすことにつながります!
◎参考
京都大学「1週間の歩行パターンと死亡リスクの関連を明らかに――週2回しっかり歩くことで健康は維持できるか?」