医療お役立ちコラム

ものもらいには抗菌作用のある目薬を

2023/05/01

季節の変わり目や疲れているときには体の抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなります。目にできる「ものもらい」もその一つ。ものもらいができたときには、なるべく早い段階で専用の目薬をつけましょう。

ものもらい(麦粒腫)とは

 まぶたの一部が赤く腫れ、かゆみや痛みを伴うものもらい。医学用語では、「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼ばれます。麦のような大きさのしこりができるからです。

 ものもらい(麦粒腫)の正体は、細菌感染です。まぶたの縁にある脂腺(ツァイス腺、マイボーム腺)や汗腺(モル腺)に細菌感染が生じることで発症します。

 ただし、原因となる細菌は、多くの場合、黄色ブドウ球菌などのふだんから皮膚に常在しているものです。つまり、細菌自体は普段から身近にいるものですが、寝不足だったり、疲れていたりして免疫力が下がると、発症しやすいのです。

そうした細菌がついた手で目をこすったり、不衛生なコンタクトレンズを使ったりすることで、細菌が脂腺や汗腺に細菌が入り込んで発症します。

 ちなみに、ものもらいは、人にうつることはありません。

ものもらいの目薬の選び方

 ものもらい(麦粒腫)は細菌感染なので、菌の増殖を抑える抗菌作用のある目薬が効果的です。サルファ剤(スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン)などの抗菌作用のある専用の目薬を選びましょう。

 また、ものもらい専用の目薬には、抗菌成分のほか、炎症を抑える抗炎症成分や、かゆみを抑える抗ヒスタミン成分、回復を促すビタミン剤、アミノ酸なども配合されています。

もう一つのものもらい「霰粒腫」

 麦粒腫に似た症状に、「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と呼ばれるものがあります。これは、涙の成分を分泌する脂の線であるマイボーム腺の出口がつまることで起こる、無菌性の炎症です。麦粒腫と同じように、まぶたの腫れや異物感が主な症状です。

 ものもらいは一般的に麦粒腫のほうを指しますが、麦粒腫と霰粒腫の両方を含めてものもらいと言われることもあります。

 ちなみに、霰粒腫は、麦粒腫とは違って細菌感染ではないため、抗菌剤が配合されたものもらい専用の目薬を使っても根本的な治療にはなりません。ただ、炎症予防のために使われることはあります。

市販薬で良くならない場合には

 抗菌作用のある、ものもらい専用の目薬は市販薬にもあります。症状の軽いうちは市販薬で様子を見てもいいでしょう。ただし、3~4日使っても症状が良くならない場合には、いったん使用を止めて医師や薬剤師にご相談ください。

 また、ものもらいは目を清潔に保つことが大事です。ものもらいができている間は、アイメイクやコンタクトレンズの使用は控えることをおすすめします。