医療お役立ちコラム

新しい認知症の薬「レカネマブ」

2023/10/01

「レカネマブ(製品名:レケンビ)」という新しい認知症の薬が、9月25日に承認されました。この薬は、アルツハイマー型認知症に対して新たな機序で効果を及ぼす薬です。

どんな薬なのでしょうか?

「レカネマブ」とはどんな薬?

レカネマブは、日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した抗認知症薬です。

レカネマブの対象となるのは、認知症のなかでも7割弱を占めるアルツハイマー型認知症の軽度の方、もしくはその予備軍である軽度認知障害(MCI)の方です。

アルツハイマー型認知症の人の脳内では、「アミロイドβ」という異常なたんぱく質が蓄積していることが知られています。このアミロイドβが脳の神経細胞を破壊し、脳に委縮を起こしてしまうと考えられているのです。

今回、承認されたレカネマブは、アミロイドβを減少させることで認知症の進行を抑える初めての薬です。

レカネマブの効果は

臨床試験では、1795人をプラセボ群(897人)とレカネマブ群(898人)に分けて比較したところ、レカネマブを2週間に1回点滴したグループでは、18カ月経った時点での認知機能の低下が27%抑えられていたそうです。

この「27%抑制」とはどういうことでしょうか? 

これは、「CDR-SB」という認知機能を評価するスケールによるものです。CDR(Clinical Dementia Rating)では、記憶、見当識、判断力・問題解決、社会適応、家庭状況・興味・関心、介護状況という6項目について5段階で評価します。その合計点が、SDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of boxes)です。

18カ月経った時点で、プラセボ群もレカネマブ群もスタート時よりもスコアは下がっていましたが、その下がり具合が、レカネマブ群のほうが27%抑えられていました。つまり、残念ながら症状が改善されたわけではありません。どちらのグループでも1年半で認知機能は悪化しているものの、その悪化具合が緩やかになったということです。

レカネマブのデメリットは

レカネマブに副作用はあるのでしょうか?

先の臨床試験では、17.3%に脳内の微小出血が、12.6%に脳浮腫が見られたそうです。また、有害事象はレカネマブ群の88.9%、プラセボ群の81.9%で発生していて、休薬につながる有害事象はレカネマブ群で6.9%、プラセボ群で2.9%発生したことも報告されています。

そのほか、レカネマブは飲み薬ではなく、点滴です。そのため、2週間に1度通院し、毎回1時間ほどかけて点滴を行う必要があります。そのこともデメリットと言えるかもしれません。

レカネマブの対象となるのは

レカネマブについては、現在、価格を決める議論が行われていて、年末までに公定価格が決まり、公的医療保険で使えるようになる見込みです。

認知症の人は年々増えていて、エーザイは、薬の対象となる軽度認知障害(MCI)や軽度の認知症の人は国内に542万人いると推計しています。ただし、この薬を使うには脳内にアミロイドβが蓄積されていることをPETなどの画像検査で事前に確認する必要があります。また、点滴治療の開始後も、脳内の微小出血などの副作用を確認するため、定期的な検査が必要になることも大事なポイントです。

◎参照

エーザイ株式会社:「レケンビ®点滴静注」(一般名:レカネマブ)について、日本においてアルツハイマー病治療薬として製造販売承認を取得

https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202359.html

エーザイ株式会社:エーザイ、アルツハイマー病臨床試験(CTAD)カンファレンスで、早期アルツハイマー病を対象としたレカネマブ第3相確認的明瞭性広告研究の完全な結果を発表

https://www.eisai.com/news/2022/news202285.html